そういえば以前住んでたところの近所で、ごくまれに顔が隠れるほど深く帽子をかぶったおじさんが立ってて、どこかの方角を指差したままじっとしてるんだよ。
そのおじさんは毎回違う場所に立ってるんだけど、指をさしてる方角を見ても特に何もない。
ある時期にだんだん会う回数が増えてさ、連日で遭遇するようになると、なんか怖くなって部屋に引きこもった。
で、その日チャイムが鳴ったんで、ドアの覗き穴から見たらさ……。
いたんだよ、そのおじさんが。
まっすぐ俺に指をさして……。
そのとき気付いたんだけど、指をさす方角って全部俺の家に向けられてたものだった。
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