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ヘッドホン

私は夜寝ながら音楽を聴くのが習慣になっていた。
ヘッドホンをしたまま朝を迎えることも少なくない。

うっすら記憶はあるのだが昨日は珍しく寝付きが悪かった。
いつもならベッドにダイブし10分もあればアッチへ逝けた。

なかなか眠れない時ってなんかドキドキするのね。
何でだかわからないけど心臓が叩いてくるのが感じられる。
音楽でも聴くか!今日は気分を変えてロックにしよっと。
って、眠れるかぃ!!まぁいっか朝まで起きるのも。

オーディオにランダムをかけ好きな歌手の歌をいつもと違う気分で聴く。
でも気に入らない歌は早送り。これでは意味がない。。

しばらく聴いていると寝つきの良い私はすでにアッチに逝きかけていた。
気づけば何曲か過ぎていたり、あぁ、もうメンドクサイこのまま寝よう。
曲をかけたまま寝てると、たまにその歌手の夢を見ることがある。
夢じゃなければいいのにね……。

ランダムで曲が選ばれる――――。長い静寂。止まった?
私はディスプレイを確認したけど、曲は1分55、56と確かに演奏が続けられていた。
こんな曲あったっけな?

しばらくすると微かに音が聞こえてきた。
広い草原を想像させるような心地よい風の音。誰か歩いてくる。

「こんばんは」
女の子の声。かわいらしい女の子だなぁ。声で姿を確認できたような感じがした。

「こんばんは?お姉さん」
その声は私に問いかけているのか。私も挨拶を心の中で返してみた。

「こんばんは、君いくつかな?」
答えが返ってくる。

「17歳です。友達が出来てよかった」
「じゃあ私5歳年上だ!君の名前教えてくれない?あ、私久美子よろしく」
友達という響きが嬉しかった。

「温海、温かい海ってかいてあつみ。久美子お姉ちゃんって呼んでいい?」
「OK!じゃあ温海ちゃんはアッちゃんね」
私達はいろいろな話をしていた。アッちゃんのこと。私のこと…。
アッちゃんの相談にも乗った。アッちゃんはお父さんとうまくいっていないようだ。

私はふと質問した。
「アッちゃん ここで何してるの?」
「あぁああああああああああああああああああああああああああああああああああ」

耳の奥にまで響いてくる、嫌。嫌だ。嫌だ。
断末魔のような悲鳴に恐怖を感じ私は現実に戻された。
ヘッドホンをと――取れない。悲鳴が私を壊していく――
――ああ私はヘッドホンが好き。あぁいつも耳にはヘッドホン。ああ何が面白いのかわからないけど笑みがこぼれてくる。
周りの人は私が変になったとか。暗い人だったから精神的にイッタんじゃない?とか、あああ私は気にしない。だってアッちゃんが居てくれるもん。
あああああここは心地いいあああ ああ あああああ ああアあァあぁ あぁああ

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